映画『私の見た世界』

石田えり 長編初監督作

2025年7月26日(土)より

シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!

監督・脚本・編集・主演:石田えり

佐野史郎 大島蓉子
夏川さつき 後藤ユウミ 下総源太朗 林歩楓 蒲生純一 佐藤まんごろう 桑田佳澄 島村苑香 スガ・オロペサ・チヅル 日下部そう 峰秀一 石井ひとみ くれ みわ 小田和江 関口ふで 山内ナヲ 櫻井紗季 岡本舞 仲野元子 黒井悠未 塩野谷正幸 吉田武房 松下太亮 西山水木 齋藤光司 世志男 栗田昌治

監督・脚本・編集:石田えり
プロデューサー:佐藤ちひろ 音楽:ジャイルス・リーブス 音響監督:臼井勝 撮影:伊集守忠 照明:大久保礼司 美術:前田巴那子 装飾:角田綾 衣装・ヘアメイク:松延沙織 デザイン:古平正義 編集協力:城田道義 公式サイト:中村剛

製作/配給:トライアングルCプロジェクト 配給協力/宣伝:Playtime
2025年/日本/日本語/69分/カラー/1.85:1/PG12 ©2025 Triangle C Project

予告編 / Trailer
『私の見た世界』予告編(縦)60秒
『私の見た世界』予告編(横)60秒
昭和57年、松山ホステス殺人事件で逮捕された福田和子。名前を変え14年11ヶ月10日間におよぶ逃走の日々を新たな視点で描く。「女」は、何から逃げたのか ——

映画監督 石田えり伝えたかった物語

生きていれば、どんな人でも、できれば逃げ通したいものに出会う。考えるのが面倒なこと。過去にしでかした罪や受けた傷。どうすることもできないと思っている性癖。トラウマ。しかし、「逃げる」ということは、「追われる」ということだ。いったいどうしたら「解放」されるのだろう? ある日、その答えのヒントになるような夢を見た。人に言うとバカみたいと思ったが、その3日後、詩人の谷川俊太郎さんが見た夢を語られているのを、偶然テレビで観た。全く同じ夢だった。驚いた。私はこの夢のことを、時効寸前まで15年逃げ続けた、整形殺人犯「福田和子」の事件を基に伝えられたらいいなと思いました。

石田えり

昭和と平成を震撼させた逃走劇が、令和の時代に新たに問いを投げかける

福田和子の人生を通じて浮かび上がる社会の闇と光、人間の弱さと強さ。

福田和子——その名前は、昭和と平成をまたいで日本中を騒がせた事件とともに記憶されている。1982年(昭和57年)、松山ホステス殺人事件の犯人として指名手配された福田は、顔や名前を変えるなどして警察の目を欺き、時効直前の約15年間にわたり逃走を続けた。妻であり母親でもあった彼女の逃走劇とその背景は、当時の日本社会に大きな衝撃を与え、犯罪の恐ろしさだけでなく、人間の弱さや社会の闇を映し出す鏡としても多くのメディアや書籍で紹介されている。痛みや孤独、そして恐れに満ちていたようにも思える福田和子の人生。その中で何が彼女を追い詰め、どのようにして彼女自身がその道を選んだのか——。

本作はしかし、過去の出来事を単なる犯罪史として再現する映画ではない。監督は女優としても知られる石田えり。芸能界で華々しいキャリアを持つ石田が、SNSやデジタル技術が普及した令和の時代に、あえて福田和子の物語を描くことは、人間の本質や社会の矛盾を改めて問い直すきっかけとなるだろう。彼女の逃走生活を描くことで、「罪を犯した者」が社会との接点をどのように持ち続けたのか、その中で何を感じていたのかについても新たな視点が得られるはずだ。これは福田和子の物語に重ねて、社会の光と人間の強さにもわずかな希望を見出している石田えりの物語でもある。

オフィシャル インタビュー

Q:映画を撮りたいというお気持ちはいつごろから持っていらっしゃったんでしょうか。

もう20年ぐらい前、旅行中にすごい面白い体験をして映画にできたらいいなと思ったのが初めです。それでもまさか自分で書いて監督しようなんてまったく思ってなかったんですけど、その後舞台を作ったりいろいろしているうちに作る方に興味が出てきたんだと思うんです。それで短編映画を作って。でも最初につくりたいと思った映画は規模が大きいので、最初はこの作品がいいんじゃないかなって。

—— 成功なさっている俳優さんが映画を撮るというリスクを決断されたわけですよね。

リスクを考えたら怖くて手も足も出ないじゃないですか。映画を作ってひどかったら何を言われるかわからない、「何これ?」って言われて終わりみたいな可能性もありますけど、でも作ってみないとわかんないでしょ。作りたいなって気持ちのほうが強かったので。
短編を作ったとき自分が思い描いているものをそのまま映像化して伝えるっていうのが本当に難しくて、才能のある人でも伝えたいと思い描いたものがそのままお客さんに伝わるのかなって、すごい不思議だったんですけど。でも作りたいっていう気持ちが強かった。

Q:若い人に見てほしいとのことですが。

子どもの世界もいますごく大変で、逃げたい嫌なこととか、いっぱいあるんだろうなあって。それで若いとき、まだ心が柔らかいときに映画を見てくれてちょっとでも印象に残ってたら「あ、自分はいま逃げてるな」と思ったとき思い出してくれて、逃げないでやってみようかなって勇気出してくれたらうれしいなって思うのと、(この映画の多くの登場人物は)すごい悪意だらけじゃないですか。(世間は)お父さんお母さん、近所のおじちゃん、おばちゃん、みたいないい人たちばっかりじゃないと知るのはちょっと免疫力を高めるのに役立つんじゃないかなと思って。(映画で)悪意のある人間を見て「世の中にはこういうのもいるぞ」とちゃんと知っておくのも大事なような気がしますね。だから若い人たちに、その両方の意味で見てほしいなあ。

映画って感動するだけじゃなくて、役に立つっていうか。ずーっと好きな映画が『ショーシャンクの空に』なんですけど、あれなんかもう、映画の中の映画じゃないですか。希望を捨てないで、絶対諦めない。あれは希望なんかじゃなくて妄想なんじゃないかと不安になったところであの最後のシーンは胸がスカーっと晴れるというか。
まあでも映画って見ちゃったら、いろいろ感じるのは映画を見た人の自由なんだからね。

Q:福田和子さんを題材にしようと思われた理由とかきっかけは何かありましたか?

澤地久枝さんの本が好きで『烙印の女たち』みたいな系統の作品を読んでいたんですけど、犯罪関連の本を読んでいると福田和子さんにぶち当たるじゃないですか。それで、ほかの事件では「こういう事件があったのか」で済んでたんですけど、福田和子さんについて書かれたものを読んでいたときだけなぜか映像が浮かんだんです。たまたま同じタイミングで夢とかも見ちゃったんで、イメージが重なって。

—— それは監督コメントでお話しされていた谷川俊太郎さんと同じ夢を見たことがあるという夢ですね。どんな夢だったのかうかがってもいいですか?

それは、お化けに追いかけられる夢なんです。怖くて、怖くて、でも怖いから逃げる、逃げるから追われる、恐怖がだんだん増大していくんですけど、もうこれ以上は怖すぎると思って観念して振り向いてみたら、その原因が消えたという夢だったんです。それが「自分の嫌なこととか恐怖っていうのは、見ればいいんだ」っていうメッセージだと感じたんです。

—— 福田さんの本を読んでる時だけ出てきたイメージっていうのは作品の中ではどのあたりですか。冒頭の逃亡中のイメージもとてもリアリティがありましたが。

景色というよりは人物ですね。福田さんが見たかもしれない、人物がこっちを見ている顔です。逃げてる最中に出会った売春旅館でバイトしてるときの女の子がこっち向いてる顔とか。なんでそこがイメージされたのか自分でもよくわかんないけど、あどけない顔でこっちを見ている子とか。不思議ですよね。

—— 福田和子さんに何か共感されたところがあったのでしょうか。

共感はそんなにないですけど、極悪人という世間のイメージだけで、ものすごい極悪人なのだという目で見られる、そういう悪意を持った人の目線って怖いじゃないですか。そういう目で見られるのはきっと、怖かっただろうなあって。

—— 今だとSNSがあったり監視カメラも多いですし、若い何もしてないような人たちですら人の目をすごく気にしている社会だと思いますが、そうした事も考えられましたか。

そうですね。ストーカーとかいじめだったり。

—— 最近特に相互監視みたいな状態に陥ってしまっている印象を受けますよね。また女性の性被害とか人権に改めて光が当てられているということもあって。例えば、松山刑務所事件にも光を当てたかったのでしょうか。

そこまでは考えてなかったかもしれないですね。

—— でも浮き彫りになっちゃってるのがすごいですね。リサーチはどうされましたか?

リサーチというより本を読んだ時のイメージと、あとは自分が体験したり、見てきたことのイメージを混ぜ合わせて。

—— 興味があることに集中されるんでしょうか?

だって、そうじゃないと怖いじゃないですか。それでも不十分かもしれないけど、自分なりに知りたいことは全部知った状態じゃないと恐ろしくて書けないじゃないですか。あとやっぱり、自分の体験と重なるところは入れてますね。例えば福田和子さんはレイプ被害を受けているときに(加害者の顔が)爬虫類に見えたとおっしゃってるんですけど、それをそのまま映像化するのは難しい。それで、以前、人の顔が歪んで見えた経験を思い出して、そのイメージをCGで作ってもらいました。。ウケ狙いみたいな表現だと思われるかもしれないんですけど、実際あんなふうに見えましたから。

Q:若い人に見てほしいとのことですが。

子どもの世界もいますごく大変で、逃げたい嫌なこととか、いっぱいあるんだろうなあって。それで若いとき、まだ心が柔らかいときに映画を見てくれてちょっとでも印象に残ってたら「あ、自分はいま逃げてるな」と思ったとき思い出してくれて、逃げないでやってみようかなって勇気出してくれたらうれしいなって思うのと、(この映画の多くの登場人物は)すごい悪意だらけじゃないですか。(世間は)お父さんお母さん、近所のおじちゃん、おばちゃん、みたいないい人たちばっかりじゃないと知るのはちょっと免疫力を高めるのに役立つんじゃないかなと思って。(映画で)悪意のある人間を見て「世の中にはこういうのもいるぞ」とちゃんと知っておくのも大事なような気がしますね。だから若い人たちに、その両方の意味で見てほしいなあ。

映画って感動するだけじゃなくて、役に立つっていうか。ずーっと好きな映画が『ショーシャンクの空に』なんですけど、あれなんかもう、映画の中の映画じゃないですか。希望を捨てないで、絶対諦めない。あれは希望なんかじゃなくて妄想なんじゃないかと不安になったところであの最後のシーンは胸がスカーっと晴れるというか。
まあでも映画って見ちゃったら、いろいろ感じるのは映画を見た人の自由なんだからね。

出演 / Cast

佐藤節子:役

石田えり

熊本県出身。
『遠雷』(80)で日本アカデミー賞優秀主演賞と優秀新人賞を受賞。カンヌ映画祭コンペティション部門出品の『嵐が丘』(88)、ヴェネチア映画祭オリゾンテ部門オープニング作品『サッド ヴァケイション』(07)などに出演。 『G.I.ジョー・漆黒のスネークアイズ』(21)でハリウッドデビュー。

野上の母:役

大島蓉子

宮城県出身。青年座研究所卒業。
2000年から放映された「トリック」シリーズでの大家・池田ハル役で注目を浴びる。その他の映画作品に「しあわせのマスカット」(吉田秋生監督)、「洗骨」(照屋年之監督)がある。

親方:役

佐野史郎

島根県松江市出身。
1975年、劇団シェイクスピア・シアターの創立に参加。1980年、劇団状況劇場(唐十郎主宰)入団。退団後、1986年林海象監督「夢みるように眠りたい」で映画主演デビュー。1992年テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」(TBS)のマザコン男“冬彦”役が社会現象となる。主な出演作に石井輝男監督「ゲンセンカン主人」(1993)A・ソクーロフ監督「太陽」(2005)、若松孝二監督「千年の愉楽」(2013)、空音央監督「HAPPYEND」(2024)などがある。

その他の出演者

夏川さつき 後藤ユウミ 下総源太朗 林歩楓 蒲生純一 佐藤まんごろう 桑田佳澄 島村苑香 スガ・オロペサ・チヅル 日下部そう 峰秀一 石井ひとみ くれ みわ 小田和江 関口ふで 山内ナヲ 櫻井紗季 岡本舞 仲野元子 黒井悠未 塩野谷正幸 吉田武房 松下太亮 西山水木 齋藤光司 世志男 栗田昌治

その他の出演者

夏川さつき 後藤ユウミ 下総源太朗 林歩楓 蒲生純一 佐藤まんごろう 桑田佳澄 島村苑香 スガ・オロペサ・チヅル 日下部そう 峰秀一 石井ひとみ くれ みわ 小田和江 関口ふで 山内ナヲ 櫻井紗季 岡本舞 仲野元子 黒井悠未 塩野谷正幸 吉田武房 松下太亮 西山水木 齋藤光司 世志男 栗田昌治

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